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最後に掴むもの

今でも覚えている。彼はオレの上司というには奇妙な響きで、先輩のような人だった。ある日一緒にチームを組むことになり、二人で作業を進めているうち、ごく自然な流れで彼の悩みへと話が進む。

「俺さ。今はこうしているけど、まだ色々悩んでるんだよね。彼女は地元だし、今の生活も大変だし……」

もっともだと思った。彼の背景を知っている。彼の人の善さをも知っている。

「○○君も大変だけど、俺もこうしてていいのかななんて思うこともあるんだよねぇ」

彼はまだまだ若かった。それ故に、選択の多さに感じるものが引っかかりを作っていたのかもしれない。

それでも、人は歯車を回すしかない。誰もが分かっている。分からないふりをしてすごしている。分かっている。それでも、オレは口を開いた。

「僕が言えることは一つです。○○さんがやって、後悔しないことをすれば良いと思います。例え後悔したとしても、しないでする後悔よりは幾分もましだと思います」

「そうだよねぇ。ごめんね、なんか大変なのに俺の愚痴なんて聞いてもらっちゃって」

人の愚痴を聞くのは嫌いじゃない。聞きすぎて耳が慣れているから、拒否反応は出ようもない。それよりも彼を応援したいと思う気持ちが大きかったので、口を開いた。彼に悩んで欲しくなかったから。

そして月日は流れた。チームも解散して大分経過している。そんなとき、風の噂が流れ込んできた。

結局彼は今も同じところで、同じことをしているらしい。誰もがそうするように、彼もまたそうしただけにすぎない。そこには何も不条理はないのだ。

ただ一つ。彼はそこでもっと立派になっていたのである。言葉に込めた想いは今でも変わっていない。後悔しないことをして欲しい。果たして彼の「今」がそうであるかは分からない。

ただ……前よりも幸せなのは確かだなと思った。
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[ 2017/01/19 00:55 ] 一言 | TB(0) | CM(0)
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